2025/01/23
デプスインタビューはその性格上、インタビュアーのインタビュー能力やイレギュラー対応能力が大切になる。というお話。
デプスインタビュー(深層インタビュー)は、被験者の深い心理や本音を引き出すことを目的として行われるインタビュー手法です。通常のアンケートやグループインタビューとは異なり、自由度が高く、被験者により深く踏み込んだ質問や対話を行うため、インタビュアーには以下のような能力・対応が特に求められます。
1. インタビュー能力
傾聴力
デプスインタビューは、受け答えをそのまま記録するだけではなく、相手の言葉や表情、感情の変化から「本音」や「隠れた動機」を探ることを重視します。したがって、相槌のタイミングやオウム返しの仕方など「深く聴く技術」が重要です。
適切な質問設計・展開力
あらかじめ用意した質問ガイドはある程度の軸として必要ですが、被験者の返答に合わせて、その場で質問の切り口を変えたり、より詳細を掘り下げたりする柔軟性が求められます。被験者が言葉に詰まったり、曖昧な答えをした場合でも、うまく言い換えたり追加質問を投げかけたりしながら、インタビューを円滑に進めることが重要です。
共感力と信頼関係構築
デプスインタビューでは被験者が話しやすい雰囲気を作ることが大切です。インタビュアーが被験者の視点に寄り添い、共感や理解を示すことで、本音を引き出しやすい空気を生み出せます。インタビュー開始から短時間で信頼関係を築くためにも、インタビュアー自身の態度や言葉選びに注意が必要です。
2. イレギュラー対応能力
想定外の回答や話題への対応
被験者がインタビュアーの想定から外れた話題や回答をしたり、急に感情的になったりする場合があります。そうしたときでも慌てず、回答の意図を汲み取りながら、上手に質問を軌道修正しつつ、必要な情報を得る能力が求められます。
場の空気・トーンのコントロール
デプスインタビューが長時間になる場合、被験者の集中力やモチベーションが下がることがあります。逆に、過度にヒートアップしたり、センシティブな内容になりすぎてしまうことも。インタビュアーは、適切なタイミングで休憩を提案したり、質問内容を調整したりして、場の雰囲気を適切にコントロールする必要があります。
トラブルや心理的負担への配慮
場合によっては被験者が答えにくい内容やプライベートに踏み込む内容を扱うことがあります。インタビュー中に被験者が強いストレスを感じたり、拒否反応を示したりする場合には、そのまま深堀りを続けるのではなく、適切にフォローしながら質問を切り替えたり中断したりする判断も必要です。
デプスインタビューは自由度の高い手法であるからこそ、インタビュアーの「インタビュー能力(傾聴力・質問展開力・共感力)」と「イレギュラー対応能力(想定外の話題への柔軟対応・場のコントロール・トラブル対応)」が非常に重要になります。こうした能力を備え、さらに経験を積み重ねることで、被験者の深い思いや感情の奥底にある本質的なインサイトをより正確に引き出せるようになるのです。